
安定した資金繰りを行うためには、
現金・預金などの資金をきちんとと確保しておくことが重要です。
今回は現預金の保有残高の目安についてのお話しです。
Contents
一定の現預金を確保しておく重要性
事業として取引を行っていくためには、まず手元の資金(現金・預金)が必要になります。
取引におけるお金の流れとしては、
- 現金・預金といった手元資金を準備する
- 手元資金から、商品・材料の仕入れを行う
- 商品の販売もしくはサービスの提供により、売上代金を回収する
- 回収した資金から経費を支払う
- 最終的に残った資金(利益)から新たな商品・材料の仕入れを行う
- 上記のサイクルの繰り返し
といった形が一般的です。
このとき、「売上が入金されるまで支払いができない」という
自転車操業の状態では、取引を続けることが難しくなってきます。
そのため、取引を継続していくためには、
常に一定の資金(現預金)を確保しておくことが重要になってきます。
現預金の保有残高の目安について
現預金の保有残高の目安には様々な指標がある
取引を継続していくためには、常に一定の資金を確保しておくことが必要です。
主に現金や預金といったものですね。
(「すぐに現金化できる有価証券」なども該当するのですが、本記事では省略します)
そうなると、
「現金や預金はどのくらい持っていればよいのか?」
という疑問が当然出てきます。
これに関しては、今のところ様々な指標が使われています。
代表的なものでは、
- 月商の〇ヶ月分
- 総資産の〇〇%
- 借入金に対して◯◯%
といったものです。
次で具体的な数値について触れてみましょう。
現預金の保有残高の目安
現預金の保有残高の目安は、上記の指標でいうと、
- 月商の1ヶ月〜1.5ヶ月分
- 総資産の3分の1(約30%)
- 借入金に対して30%
が一つの目安とされています(諸説あります)。
ただ、これらの指標については、
「どの指標を用いて判断をするべきか?」という議論があります。
また、目安となる数値についても様々な声があり、
特に月商に対する比率については、「3ヶ月分以上」とする意見も見られます。
どの指標を使っても一概に間違いではないのですが、
このような議論があるのは、
業種や業態によって、月商の規模や運転資金の水準が異なるためです。
では、事業者の方が判断する場合には、どの指標を用いれば良いのでしょうか?
まずは月商の◯ヶ月分で判断してみる
中小企業において、現預金の保有残高の目安を判断する際に
私がオススメしている指標は、
・月商の◯ヶ月分
になります。
何故かというと、何よりも「わかりやすい」からです。
いくら正しい指標でも、「わかりにくい」「計算しにくい」ものだと
実効性に欠けてしまい、あまり意味のないものになってしまいます。
毎月の売上は掴めるでしょうから、そこに手持ち現金と通帳残高の合計を比べることで
資金の状態が把握できるようになります。
まずは、これで判断してみるのが良いでしょう。
目標とすべき現預金の保有残高
では、月商で現預金の保有残高を判断する場合において、
それぞれの数値における状態は、概ね以下のようになってきます。
- 【危険域】 月商の1ヶ月分未満
- 【適正値】 月商の1ヶ月〜1.5ヶ月分
- 【目標値】 月商の2ヶ月分以上
現預金が月商の1ヶ月分未満だと、
その月の入金があるまでは支払いができない、といった可能性もあるので
非常に危険な状態といえます(自転車操業の状態です)。
適正値については先に述べたとおりですが、
昨今の震災やコロナ等の状況を考えると、
災害リスク等により営業ができない(売上がない)期間が発生するこも
想定しておくべきでしょう。
そのため、現預金の保有残高としては、
できれば「月商の2ヶ月分以上」を目標としていくことが望ましいと思われます。
まとめ
今回は、現預金の保有残高の目安についてのお話しでした。
売上や税金ばかりに目が入ってしまいがちですが、
事業を継続していくためには、現預金などの資金を確保しておくことも重要なポイントとなります。
まずは、上記の指標を参考に、資金の状態を把握してみることから始めてみましょう。